WEB制作やシステム開発の現場でUXという言葉はよく使われています。

UXとはユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略称で、直訳するとユーザー体験という言葉になります。

UXデザインというと、ペルソナ分析やカスタマージャーニー、情報設計といった手法が論じられることが多いと思います。

もちろんそれらはUXデザインにおいては重要な要素ではあるのですが、一つ重要だと思うのは、制作後のユーザーの姿をどれだけイメージできるか?ということだと考えています。

以前私はXでこのようなポストをしました。

おそらく設計時には、快適なオフィス環境を提供し、設計図としては綺麗にできていたのではないかと思います。

しかし、実際にその場で働いていると、なんだか使いにくいという場面に遭遇することはよくあります。

こういった実際に使う人の立場になると使いづらい、という場面は日常でも多く目にします。

最先端のジェンダーレストイレが、表示の意味がわからずに混乱する人が多いという事例や、USBの上下が指すと必ず間違えているといったようなものです。

「リリース後の使用イメージ」を設計時に作成する

UXデザインでこういったトラブルを防ぐには、やはり設計段階しかありません。この時に、よりイメージを膨らますために、「リリース後の使用イメージ」という作業を加えてみてください。

すごくシンプルなので、一見見逃してしまいがちな、ごくごく当たり前の作業に感じますが、このステップを加えると、なんとなく顧客から聞いた課題を解決したつもりになって作っている機能が、現実的であるかどうかをイメージしやすくすることができます。

以前、弊社で失敗した事例として、とある店舗ビジネスのホームページで予約システムを作ったけど、使われなかったということがありました。

この時には、実際に予約が電話で時間が取られているという課題があったので、現実的に実装可能な予約システムを機能として追加したのですが、結果的には顧客の予約フローを考えると、本当は必要だった要素が満たされていない、ということが、作った後に、実際に顧客が使ってみてわかったのです。

この失敗の事例では、要件定義のミスという理由はありますが、そのミスを気づくために、実際にどのように使われるのか?という検討が設計時にされていれば、ミスに気づけたのではないかと思います。

ここまで明確な失敗だとわかりやすいですが、実際には「なんか普段の業務上だと使いづらいな」といった微妙なストレスを感じるような、ステルス失敗も実際には多いのではないかと思います。

作ってしまえば関係のない人たち

リリース後に、UXの問題がなぜ起こってしまうのか?

それはひとえに制作者の当事者意識の欠如であると言えます。

要するに、他人ごとだから起こってしまうのです。

制作者が仮に真摯に向き合っているとしても、実際のオペレーションのイメージが不足していると、同様のことが起こります。

以前のテレビ番組で「劇的!ビフォーアフター」という番組がありました。この中で、ごく稀に、一見開放感があってオシャレに見えるけど、周りから丸見えで、現実的には一切カーテンが開けられないという家がありました。これも設計者の実際の生活シーンのイメージが欠如していた可能性があります。

「作った後でも使いやすいサービス・WEBサイトを作る。」という、ある意味制作者の意気込みのようなものが最終的に価値のあるUXを生み出すのではないでしょうか?(こういうと精神論になってしまいますが、まずは手法としてしっかりアプローチは必須だとは思います。)

ちなみに弊社では、強制的に当事者意識を保つための仕組みを取り入れています。。というと大袈裟ですが、制作後も集客サポートという形で、制作後もしっかりとお客様のWEBサイトを見るようにしています。

この方法では、最初にしっかりと作っておかないと割を食うのは結局は自分になるので、よりしっかりとしたサイトを最初に作っておこうという意識が必然的に働きます。

UXに課題を感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。