会社の経理に欠かせない会計ソフトも、最近ではオンライン上で完結するクラウドベースのタイプが主流となっています。今回はクラウド会計ソフトでももっとも人気の高いfreee会計を紹介します。

実際に弊社も使用しているので、その実体験も含めて紹介してみたいと思います。

freee(フリー)とは?

freeeは、freee株式会社(東証グロース:4478)が運営しているクラウドベースの会計ソフトです。クラウドベースというのは、データや機能がWEB上にありますので、パソコンからインターネットに繋ぐことで、WEB上で使用することができます。

freeeでは日々の経理データを登録することで、決算に必要な資料を作成することができます。

freeeは有料課金会員が40万、クラウド会計ソフトでもNo.1のシェアとなっている人気のソフトです。

freeeの特徴・主要な機能

ここでは、freeeが提供する主要な特徴と、どのような機能が便利なのかを解説します。

銀行口座やクレジットカードから自動登録

freeeは、銀行口座やクレジットカードと直接連携し、自動で取引データを取り込むことができます。この機能により、手動での入力する時間が大幅に削減できるほか、入力ミスのリスクも大幅に低減できます。

自動で勘定科目を推測してくれる機能があり、登録ボタンを押すだけで、会計登録してくれます。

また、よくある取引は取引内容を推測し、あらかじめ勘定科目が表示される機能や、同じパターンであれば、自動的に会計登録してくれる機能などがあります。

完全に手間がゼロという訳ではありませんが、従来の会計登録に比べればはるかに時間が節約できることを実感できるはずです。

連携した銀行やクレジットカードの取引履歴はリアルタイムで更新されるため、常に最新の経理情報を確認することができます。この機能があることで、経営者や経理担当者は最新の財務状況を正確に把握することができます。

請求書・領収書がスムーズに発行

freee会計には、freee請求書という機能があり、この機能を使うことで、請求書や領収書の作成が非常にスムーズに行えます。特に、インボイス制度に対応した請求書の発行が可能で、新たに必要となる「税率ごとの消費税額及び適用税率」や「適格請求書発行事業者の登録番号」の項目も簡単に追加できます。

電子帳簿保存法にも対応しているため、作成した書類は自動的に電子データとして保存され、法的な要件も安心してクリアすることができます。

請求書のメール送付も可能で、紙の請求書が必要な方には、郵送代行サービスも利用可能です。見積書から納品書、請求書、領収書と書類の転換も可能ですので、一貫した作業フローで効率的に業務を進めることができます。

freee会計で利用できる請求書機能はfreee請求書という単独のサービスとしても利用可能になっています。

最新の法改正に対応

freee会計は、経営者や経理担当者が安心して利用できるよう、最新の法改正に迅速に対応しています。その強みは、クラウドベースのサービスであるため、ユーザー側での手間をかけずにシステムが常に最新の状態を保てる点にあります。これにより、法改正が行われた際も、従来のソフトウェアのように新しいバージョンをダウンロードするといった煩雑な手続きは一切不要となります。

税務関係の書類や帳簿を電子データとして保存するなどが定められた電子帳簿保存法や、2023年10月から導入されるインボイス制度にも完全に対応。ユーザーは新しい税制の変更にも柔軟に対応することができ、経理業務の効率化と正確性の向上を実現しています。

労務や経費精算など周辺機能が充実

freeeはメインサービスとなるfreee会計をベースとして、人事労務、経費精算、確定申告、会社設立など、さまざまな周辺サービスから成り立っています。

事業の形態や規模に応じて柔軟に機能を拡張できます。

周辺機能は無料で利用できるものもあれば、サービスごとに別のプランとするものもあります。

カテゴリサービス名機能説明
経理freee会計中小企業の経理を効率化。帳簿や決算書作成・請求業務に対応
freee申告法人税申告を自身で行えるサービス
freee受発注フリーランスの外注管理を簡単にサポート
freee経費精算経費精算から稟議・承認・管理のワークフローまでをサポート
freee請求書請求書や見積書などの帳票を発行するサービス
労務freee人事労務給与計算や労務管理を効率化。給与明細作成や年末調整、入社手続きから勤怠管理まで対応
freee勤怠管理Plus勤怠管理のお悩みを解決するサービス
freee就業規則β就業規則と関連する賃金規程及び育児介護休業規程の作成サポート
起業・会社設立freee会社設立会社設立に必要な書類を簡単に作成するサービス
freee創業融資融資を受ける際の事業計画書を自動で作成
個人事業主・フリーランス向けfreee会計(確定申告)経理初心者でも操作がかんたんな経理・確定申告支援ツール
freee販売案件ごとの見積から請求までのフローを一元管理。原価、粗利の可視化対応
freee開業個人事業の開業手続きを簡単にサポート
freee電子申告開始ナビ電子申告(e-Tax)の準備をサポート
freeeカード創業時でも審査可能なカード。ライトは年会費無料
freeeサイン電子契約サービス。契約書の作成、締結、管理をオンラインで完結
関連サービスfreee福利厚生借上げ社宅制度の導入・運営をサポート
freee工数管理工数管理を簡単にサポート
freee資金調達複数の資金調達手段を比較し、オンラインで申込可能
freee登記変更登記に必要な書類のオンライン作成と申請サポート
freee許認可軽貨物運送事業の許認可申請をスマホ・パソコンでサポート
Bundle by freeeSaaSアカウントの利用状況の可視化やアカウント発行を自動化

レポートや帳票が充実

freee会計(法人プラン)は、経理・財務業務に必要なさまざまなレポートや帳票の作成に対応しています。具体的には、

・総勘定元帳
・試算表
・日次・月次の推移レポート

といった基本的なレポートから

・仕訳帳
・現預金レポート
・売掛・買掛レポート

などの詳細なレポートまで、幅広く対応しています。また、収益や費用の詳細を取引先別、商品別、勘定科目別などで確認できるレポートも提供しており、経営者や経理担当者が必要とする情報を迅速に取得することができます。(契約プランによって利用可能なレポートの種類が異なります。)

さらに、決算関連の書類や消費税関連の書類も充実しており、法人税・地方税の添付書類など、一般的に利用される税務関連の書類も網羅しています。

freeeを使用することで、経理・財務業務の全てのステップで必要なレポートや帳票を効率的に作成・管理することが可能です。

freeeを選ぶ魅力・メリット

使いやすい、洗練されたデザイン

freeeは、デザインや使いやすさが洗練されており、経理や簿記に詳しくない方でも直感的に操作できます。

経理の経験がなくても、すぐに始められるというのは魅力です。

時間の節約

銀行口座やクレジットカードを連携させることで、自動で経理データを取り込むことが可能です。

エクセルや紙で管理する場合に比べて何倍もの時間の節約になります。

入力ミスがない

自動連携機能を使うことで、事前に登録した勘定科目が割り当てられたり、金額がそのまま登録されますので、手打ちで数字を入力して金額を間違えるといったミスは限りなくなくなります。

実際に使用していて便利な機能の一つは、重複登録をチェックする機能です。この機能は同日に同じ内容、同じ金額で計上されている場合、

経理の専門知識が不要。

従来の会計ソフトでは、経理を入力するには、簿記の知識が不可欠でしたが、専門的な知識がなくても経理が入力可能です。

freee認定アドバイザーのサポートも

freeeを使っていて、顧問税理を頼みたい場合にはfreee認定アドバイザーとして認定を受けた税理士に依頼するこもと可能です。

freee会計を認定アドバイザーの税理士事務所と連携することで、明細ごとに確認のメッセージを飛ばしたり、直接税理士事務所で修正してもらったりといったことも可能になります。

実際に弊社ではfreeeを使いつつ、顧問税理士はfreee認定アドバイザーとして認定を受けた税理士に依頼しており、日々の経理から決算までシームレスに対応いただいております。

freeeの料金プラン

個人事業主向けプラン – freee会計(確定申告)

プラン料金 (年払い)料金 (月払い)主な機能
スターター980円/月1,480円/月– 確定申告書の作成・出力
– 銀行口座やクレジットカードとの同期
– 請求書の作成
スタンダード1,980円/月2,680円/月– 領収書の写真から仕訳データ自動取得(月5枚まで)
– 消費税申告
– 月次推移/資金繰り/売掛/買掛レポート
– メール・チャットサポート(優先対応)
プレミアム3,316円/月年払いのみ– 電話サポート
– 税務調査サポート補償
– メール・チャットサポート(優先対応)
– 乗り換えサポート
上位プランは下位プランの機能を含みます。

法人向けプラン

プラン料金 (年払い)料金 (月払い)主な機能
ミニマム1,980円/月2,680円/月– 明細自動記帳
– OCR機能
– 見積/納品/請求書の作成
– ユーザー追加(3名まで)
– 帳簿関連(総勘定元帳、仕訳帳、固定資産台帳、決算書、消費税申告書)
– レポート関連(試算表、月次推移表、資金繰りレポート)
ベーシック3,980円/月5,280円/月ミニマムプランに加えて以下機能
– 経費精算
– ユーザー追加
– レポート関連(収益・費用レポート、集計表)
– 電話サポート
プロフェッショナル39,800円/月47,760円/月ベーシックプランに加えて以下機能
– ワークフロー(予実管理)
– チャット・メールサポート

競合他社との比較

freee vs マネーフォワード

freeeとマネーフォワードはどちらもクラウドベースの会計ソフトで、最も競合関係にあるソフトとも言えそうです。

freeeが優れている点としては、記帳の完全自動化ができる点です。一度登録した取引内容で、自動登録設定しておけば、条件にマッチした明細は自動的に仕訳を行ってくれます。

またfreeeは簿記の知識がない方であっても、簡単に扱えるように設計されていますので、初心者には簡単ですが、複式簿記などに慣れている方だと、逆に見にくくなる可能性もあります。

経理の経験の長い方はマネーフォワードも検討してみるとよいかもしれません。

料金を比較

単純な比較はできませんが、同類のプランで比較してみます。

マネーフォワード料金 freee料金
スモールビジネス2,980円/月 (年額35,760円)ミニマム1,980円/月 (23,760円/年)
ビジネス4,980円/月 (年額59,760円)ベーシック3,980円/月 (47,760円/年)
IPO準備・中堅〜上場企業向け詳細は無料お見積りでプロフェッショナル39,800円/月 (477,600円/年)

マネーフォワードの方がやや高めですが、マネーフォワードは、会計だけではなく、給与計算、勤怠管理などの労務の機能もセットになっています。freeeではfreee人事労務として利用できますが、別の料金プランとなりますので、両方使う場合には、トータルでfreeeの方が高くなります。

freee vs 弥生会計

freeeも弥生会計も同じクラウドベースの会計ソフトです。

かくいう筆者も、もともとは弥生会計を使っていましたが、当時(10年ほど前)は弥生会計はクレジットカードの自動連携が弱く、操作感ももたついたり、わかりにくかったのが不満でした。その後freeeの評判に出会ってから、移行してからは、freeeの操作感や機能に不満をもったことはほとんどありません。

私の周りでも、弥生からfreeeに乗り換えたという人の話は聞きますが、逆に弥生会計に移ったという話はほとんど聞いたことがありません。

弥生会計のメリットとしては、価格が他の会計ソフトの中でもダントツに安いです。

事業の規模が大きくなく、使用頻度が少ない場合で、料金を少しでも安く抑えたい方は、弥生会計が選択肢に上がってくると思います。

料金を比較

弥生会計も個人事業主と法人向けで料金プランが違います。

個人事業主向けプラン
プラン年額料金主な機能・サポート
セルフプラン6,900円 (次年度以降 8,800円)– 確定申告書の作成・e-Tax
– 仕訳・記帳の自動化
– 金融機関連携
– 経営状況の見える化
– POSレジ連携
– 会計事務所連携
– 請求書連携
– スマホアプリ
ベーシックプラン12,000円 (次年度以降 13,800円)セルフプランの機能 +
– WebFAQ
– 電話サポート
– メールサポート
– チャットサポート
– 画面共有(オペレーターからの提案時のみ)
トータルプラン24,000円ベーシックプランの機能 +
– 仕訳相談
– 経理業務相談
– 確定申告相談
– 福利厚生サービス
法人向けプラン
弥生会計料金freee料金
セルフプラン

ベーシックプラン
年額26,000円+税
月あたり2,166円+税

年額35,200円+税
月あたり2,933円+税
ミニマム1,980円/月 (23,760円/年)
ベーシック3,980円/月 (47,760円/年)
プロフェッショナル39,800円/月 (477,600円/年)

弥生会計とfreeeは機能の違いをシンプルに比較するのは難しいのですが、弥生会計は比較的機能がシンプルなので、弥生会計のプランの違いは、サポートの充実度の違いです。

ベーシックプランには以下の内容がついています。

– 電話サポート
– メールサポート
– チャットサポート
– 画面共有(オペレーターからの提案時のみ)

仕訳の方法や、操作方法などを電話やチャットで相談できるのは、初心者には嬉しいかもしれません。

弥生会計は長期間の無料期間がキャンペーンで比較的開催されていることが多いので、無料期間で試してみるのもいいですね。

口コミ・評価

筆者の口コミですが、まずfreeeは全体の操作感がとても心地よいです。操作面で不都合があったり、煩わしさを感じることはほとんどありません。

また機能面では、銀行口座、クレジットカードの自動連携で、毎月同じ金額で支払っているようなものは、完全に自動で会計登録されるので、目に触れることすらありません。

筆者はfreee会計以外に、freee受発注、freee人事労務を使用していますが、freee会計との連携もスムーズで、バックオフィスに関わる時間が非常にコンパクトにできています。

まとめ

freeeは、紹介してきたように、多くの経営者や経理担当者から高い評価を受けているクラウドベースの会計ソフトです。最新の法改正にも迅速に対応し、経理業務の効率を高めてくれるでしょう。

電子帳簿保存法やインボイス制度などの新しい税制の変更にも柔軟に適応しており、ユーザーは安心して経理業務を進めることができます。

30日間無料で試すこともできるので、まずは試してみることをおすすめします。

関連リンク・参考情報

freee会計(公式サイト)
電子帳簿保存法 特設サイト(国税庁)
インボイス制度(国税庁)

よくある質問

オンラインだけどセキュリティは大丈夫?

freeeは、3つの観点でセキュリティ対策を行なっています。

情報漏洩対策

通信の暗号化や保存データの暗号化、ログイン試行回数の制限など、データが漏れない、漏れにくい仕組みが採用されています。

データの保全・保護

バックアップを細かくとっており、データが失われることがあっても復旧できる仕組みです。また、データインポートやエクスポート機能を使えば、自身でもバックアップを行うことができます。

外部機関と連携

TRUSTeと呼ばれる個人情報保護第三者認証プログラムのグローバルスタンダード「TRUSTe」の認証を取得しています。また、大手セキュリティベンダーのMcAfeeの脆弱性診断を定期的に受診しており、「脆弱性なし」の診断結果を受けております。

これらに対応も行い、稼働率は99.9%という実績となっているようです。