マーケティングにおいて、年齢別や性別でターゲットを分類する方法がいくつか存在しますので、その方法について紹介していきます。

F1、F2、F3、M1、M2、M3、C、T

「F」は女性(Female)、「M」は男性(Male)、「C」は子ども(Child)、そして「T」はティーンエイジャー(Teenager)を表しています。FとMはそれぞれ年代に合わせて1~3に分けられています。

この分け方は、マーケティングや広告で使用され、特にテレビCMでのセグメンテーションにしようされてきました。

以前はF1、M1が消費意欲が高いという意味がありましたが、時代が変わり、2020年代以降は、若い世代でも所有欲や出世欲が以前に比べると低下しており、マーケティングの分け方として適切であるかどうかに注意が必要です。

注意点

この分け方が単純化されすぎている点が挙げられます。現代の消費者は多様化しており、年齢や性別だけでなく、ライフスタイルや価値観も重要な役割を果たしています。また、区切りの年齢層の幅が広すぎるという懸念があります。最近のマーケティングでは、年齢層はより狭い範囲で、時には具体的な年齢を設定してマーケティング活動を行います。

したがって、F1やM2などのカテゴリーだけでは、消費者の実際のニーズや傾向を完全に捉えることが難しい場合があります。

F1層の特徴(20歳から34歳の女性)

F1層は購買力が高いことが挙げられます。彼女たちは若い社会人として働き始めたばかりの人から、キャリアを積んで中堅となった人まで含まれ、経済的に自立しているため、消費に対する意欲も高いのです。

さらに、F1層はファッションや美容に対して非常に高い関心を持っています。トレンドに敏感で、新しいブランドや製品を試すことに積極的であり、そのため、ファッションや美容関連の商品に対する支出が多く見られます。

SNSの活用も活発であり、InstagramやTwitter、TikTokなどのプラットフォームを通じて情報を収集し、共有することが日常的です。口コミやレビューを参考にする傾向が強く、これが購買行動に大きな影響を与えます。

F1層はライフスタイルの多様化も特徴です。仕事だけでなく、趣味や旅行、友人との時間を楽しむことにも重きを置いており、自由な時間を楽しむためのサービスや商品にも強い関心を持っています。

加えて、この層はエコやサステナビリティへの意識が高いことも特徴です。環境問題に敏感であり、エコフレンドリーな商品や企業の取り組みに関心を持つ傾向が強く、サステナビリティを重視した消費行動を取ることが多いです。

F2層の特徴(35歳から49歳までの女性)

F2層は家庭や仕事の両立を意識していることが多い世代です。この年齢層の女性は、多くの場合、子育てや家事、さらにはキャリアを両立させる必要性が高くなります。そのため、時間効率を重視する傾向があり、便利で使いやすい商品やサービスに対する需要が高いです。

また、F2層は品質や信頼性を重視する消費傾向があります。若い頃に比べて購買経験が豊富で、価格よりも品質や長期的な価値を重視するため、信頼できるブランドや高品質な商品に対して忠誠心を持つことが多いです。

健康とウェルネスへの関心も強いのがF2層の特徴です。健康維持や美容、アンチエイジングに対する意識が高く、これに関連する商品やサービスに対する需要が顕著です。特に、健康食品やスキンケア製品、フィットネス関連の商品などが人気です。

さらに、F2層の女性は、家族のための消費にも大きな影響を及ぼします。子供の教育や家庭の生活水準を向上させるための支出が増える傾向があり、教育関連の商品やサービス、家庭向けの高品質な日用品への関心が高いです。

SNSやインターネットの利用も引き続き活発ですが、F1層に比べて情報の信頼性を重視する傾向があります。口コミやレビューだけでなく、公式サイトや信頼できる情報源からの情報を参考にすることが多いです。

F3層の特徴(50歳以上の女性)

F3層は安定した収入と経済的な余裕を持つことが多いです。長年のキャリアや資産形成によって、自由に使える可処分所得が増え、そのため趣味や旅行、自己啓発など、個人的な楽しみや充実を求める傾向が強いです。

次に、F3層は健康とウェルネスへの関心が非常に高いことが挙げられます。年齢を重ねるにつれ、健康維持や病気予防、そして質の高い生活を送るための方法に強い関心を持ちます。そのため、健康食品やサプリメント、フィットネス関連の商品、さらに医療や介護に関するサービスへの需要が高まります。

F3層はまた、家庭内の支出だけでなく、孫や家族全体のための消費にも影響を与えます。特に教育や旅行、家族イベントに関する支出が増える傾向があり、家族全体で楽しむことのできる商品やサービスに対しても積極的です。

さらに、F3層は信頼性とブランドに対する忠誠心が強いです。長年の消費経験から、自分に合った信頼できるブランドや商品を選び続ける傾向があり、新しい商品に対しても品質や実績を重視することが多いです。

また、F3層の女性はコミュニティ活動や社会貢献にも関心を持つことが多いです。ボランティア活動や地域社会との関わりを大切にし、社会的な意義のある商品やサービスにも積極的に関与する傾向があります。

最後に、デジタル技術の利用も増加していますが、情報の信頼性を非常に重視します。インターネットやSNSを利用する際には、公式サイトや信頼できる情報源からの情報を特に重視し、信頼性の高い情報を元に購買行動を決定することが多いです。

M1層の特徴(20歳から34歳までの男性)

M1層はライフスタイルの多様化が顕著です。多くのM1層の男性は大学を卒業し、社会人としてのキャリアをスタートさせる時期にあります。そのため、仕事を重視しながらも、趣味や余暇活動にも積極的に時間を割いています。特に、スポーツやアウトドア活動、ゲームやエンターテインメントなどに対する関心が高い傾向があります。

次に、M1層は技術とデジタルガジェットに対する興味が非常に強い世代です。最新のスマートフォンやコンピュータ、ゲーム機などに対する需要が高く、これらの製品に対して高い購買意欲を持っています。また、SNSや動画共有プラットフォームを活用して情報を収集し、発信することも一般的です。

さらに、M1層はファッションと自己表現に関心があります。自分のスタイルを確立し、ファッションや美容に対しても一定の支出を惜しみません。ブランド品やトレンドに敏感で、自分自身を表現するための手段としてこれらを活用します。

M1層の男性はまた、冒険心が強く、新しい経験を求める傾向があります。旅行や新しいレジャー活動、異文化交流などに積極的で、これらの経験に対する投資を惜しまないことが多いです。

経済的には、M1層はまだキャリアの初期段階にあるため、収入は安定していない場合が多いものの、自分自身の興味や楽しみに対して積極的にお金を使う傾向があります。そのため、価格よりも価値や経験を重視する傾向があります。

また、M1層は情報の収集と共有に関して非常にアクティブです。SNSやオンラインレビュー、YouTubeなどを通じて情報を収集し、他人と共有することが多いです。これにより、口コミやレビューが購買行動に大きな影響を与えます。

M2層の特徴(35歳から49歳までの男性)

M2層はキャリアの中核を担う時期にあるため、仕事に対する責任とプレッシャーが大きいです。多くのM2層の男性は管理職やリーダーシップのポジションに就いていることが多く、職場での影響力が高いです。したがって、ビジネス関連の商品やサービス、特に効率を高めるツールやプロフェッショナルな外見をサポートするファッションアイテムに対する需要が高いです。

次に、M2層は家庭生活にも重きを置いています。この年齢層の男性は多くの場合、家庭を持ち、子育てに関わることが多いため、家族全体のための消費が増える傾向があります。教育関連の商品やサービス、家族向けのレジャーや旅行、家庭の快適さを向上させる家電製品などに関心が高いです。

さらに、M2層は健康とフィットネスに対する関心が高まる時期でもあります。加齢による健康リスクを意識し始め、健康食品やサプリメント、フィットネス関連の商品やジムの会員資格などに対する需要が増加します。定期的な運動や健康診断、ストレス管理のためのサービスにも関心を持っています。

M2層の男性はまた、資産形成と投資に対する意識が高いです。将来のための貯蓄や投資に関心があり、金融商品や不動産投資に積極的です。保険や年金、ファイナンシャルプランニングに関するサービスも重要な関心事となります。

技術とデジタルツールへの関心も続いていますが、M1層ほど新しいガジェットに対する熱意は少ないかもしれません。しかし、仕事や生活の効率化を図るためのデジタルツールやアプリケーションに対しては依然として高い関心を持っています。

M2層はまた、安定性と信頼性を重視する傾向があります。長年の経験から、信頼できるブランドやサービスを選ぶ傾向が強く、新しい商品に対しても品質や実績を重視します。高品質な商品やサービスに対する忠誠心が高く、一度気に入ったものを長く使い続ける傾向があります。

M3層の特徴(50歳以上の男性)

M3層はキャリアの集大成期にあることが多く、長年の経験と実績を持っています。このため、仕事に対する責任感が強く、職場での地位や影響力が高いです。多くのM3層の男性は経営層やシニアマネジメントの役職に就いており、ビジネス関連の高品質な商品やサービスに対する需要が高いです。

次に、M3層は健康とウェルネスへの関心が非常に高いことが挙げられます。加齢に伴う健康リスクを意識し、健康維持や病気予防に対する意識が強くなります。健康食品やサプリメント、フィットネス関連の商品、定期的な健康診断や医療サービスへの需要が顕著です。また、ストレス管理やメンタルヘルスのためのサービスにも関心を持つ傾向があります。

さらに、M3層の男性は家庭生活を大切にし、家族との時間を重視します。子供が成人し、孫がいる場合も多く、家族全体で楽しむことができる商品やサービスへの関心が高まります。特に、家族旅行や家庭向けの高品質な日用品、住宅リフォームやインテリア関連の商品に対する需要が増えます。

また、M3層は資産管理とリタイアメントプランニングに対する関心が強いです。リタイアメントを見据えて、資産の保全や増やすための投資に積極的であり、ファイナンシャルプランニングや保険、年金関連のサービスへの需要が高まります。

技術とデジタルツールに対する関心も続いていますが、若い世代ほど新しいガジェットにはこだわらない傾向があります。それでも、生活の質を向上させるためのデジタルツールやスマートホームデバイス、エンターテインメント関連の商品には関心を持っています。

M3層はまた、安定性と信頼性を重視する消費傾向があります。長年の経験から信頼できるブランドやサービスを選ぶことが多く、新しい商品やサービスに対しても品質と実績を重視します。一度気に入ったブランドや商品に対しては高い忠誠心を持ち、長期間にわたって使用する傾向があります。

C層の特徴(4歳〜12歳)

C層は強い影響を受けやすい世代です。家庭、学校、友人、そしてメディアからの影響が非常に大きく、これらの要素が消費行動に直接的に影響を与えます。特にSNSやYouTubeなどのオンラインプラットフォームでのインフルエンサーの意見やトレンドに敏感であり、これが購買行動を左右します。

次に、C層はデジタルネイティブであり、テクノロジーに非常に精通しています。スマートフォン、タブレット、コンピューターなどを日常的に使用し、情報の収集や共有をオンラインで行うことが一般的です。ゲーム、ソーシャルメディア、動画視聴など、デジタルコンテンツに多くの時間を費やします。

また、C層は好奇心が旺盛で、新しいものを試すことに対して非常に積極的です。トレンドに敏感であり、流行のファッションやガジェット、新しいアプリやゲームに強い関心を持ちます。このため、ブランドや企業は最新のトレンドを取り入れたマーケティング戦略を展開することが求められます。

さらに、C層は友人や同年代の影響を強く受けることが多いです。集団での一体感や共感を大切にし、友人との共有体験が購買行動に大きな影響を与えます。特に、同年代の口コミやレビューを重視し、それに基づいて商品を選ぶ傾向があります。

C層はまた、親の購買行動にも影響を与えます。特に小さな子供の場合、親が子供のために商品を購入することが多いため、親に対してもアプローチすることが重要です。教育関連の商品やサービス、家庭向けの娯楽やアクティビティなどに対する需要が高いです。

最後に、C層は感情的なつながりを重視する傾向があります。ストーリーテリングや感情に訴えるマーケティングが効果的であり、ブランドとの感情的な結びつきが強い場合、そのブランドに対する忠誠心が高まります。

T層の特徴(13歳〜19歳)

T層は自己表現とアイデンティティの確立に強い関心を持っています。ティーンエイジャーは、自分自身を他者と区別し、個性を表現するためにファッションや美容、音楽、趣味などに対して積極的に関心を示します。流行やトレンドに敏感で、これらを取り入れて自己表現を行うことが重要です。

次に、T層はデジタルネイティブであり、テクノロジーに非常に精通しています。スマートフォンやタブレット、パソコンを日常的に使用し、SNSやYouTube、TikTokなどのプラットフォームを通じて情報を収集し、共有しています。オンラインでのコミュニケーションが主流であり、インフルエンサーの影響を受けやすいです。

T層はまた、友人や同年代の影響を強く受けます。仲間とのつながりを大切にし、友人やクラスメートが使っている商品やサービスに対する興味が高いです。口コミやレビューが購買行動に大きな影響を与え、友人と同じものを持つことや経験することに価値を感じます。

さらに、T層は好奇心旺盛で、新しいものに対して積極的です。新しいテクノロジーやアプリ、ファッション、音楽などに興味を持ち、トレンドを追いかけることが好きです。このため、ブランドや企業は最新のトレンドやイノベーションを取り入れたマーケティング戦略を展開することが求められます。

経済的には、T層はまだ収入が限られているため、価格に敏感な一方で、親の購買行動に影響を与えることも多いです。特に、親に商品を買ってもらう場合や、親が支援する教育関連の商品やサービス、娯楽活動に関しては、T層の意見が重要となります。

最後に、T層は感情的なつながりを重視する傾向があります。ストーリーテリングや感情に訴えるマーケティングが効果的であり、ブランドや商品に対して感情的な結びつきを感じると、そのブランドに対する忠誠心が高まります。

Z世代

Z世代は、大まかに1995年から2010年に生まれた人々を指します。この世代は、インターネットやデジタルテクノロジーが日常生活に深く根付いている時代に育ちました。彼らはデジタルネイティブとして知られており、スマートフォン、ソーシャルメディア、オンラインコミュニケーションツールの使用に非常に精通しています。

Z世代の消費行動は、個性と自己表現を重視する傾向があります。彼らはブランドの倫理的な価値や持続可能性を重要視し、自分の価値観に合った製品やサービスを選ぶことに注力しています。また、彼らはオンラインショッピングやデジタル決済に慣れ親しんでおり、オンライン上での口コミやレビューを重要視します。

α世代

α世代は、2010年以降に生まれた世代を指します。この世代は、スマートフォン、タブレット、その他のデジタルデバイスの普及がさらに進んだ時代に育っています。そのため、Z世代と同様にデジタルネイティブであるが、さらに先進的なテクノロジーに囲まれた環境で成長しています。

その他世代

世代生まれた年代
団塊世代約1947年 – 1949年
シラケ世代1965年 – 1970年
バブル世代1971年 – 1974年
アイスエイジ世代1970年代後半 – 1980年代初頭
ミレニアル世代(Y世代)約1981年 – 1994年
Z世代約1995年 – 2009年
α世代2010年以降

また、Z世代より前の時代をX世代、Y世代と分ける分け方もあります。

世代生まれた年代年齢(2024年時点)
X世代1965~1980年44~59歳
Y世代(ミレニアル世代)1981年~1995年29〜43歳
Z世代1990年代後半〜2010年14〜28歳
α世代2010年〜0〜13歳

この他には、若年層、子育て世代、アラサー、アラフォーといった様々な切り方もあります。

F1、M1という切り口は古い?

この分け方が古いかどうかについては、一概には言えませんが、現代のマーケティングではより複雑で洗練された消費者セグメンテーションが必要とされています。

例えば、F1層という切り方において、独身であるか、既婚なのか?子供はいるのか?仕事に力を入れているのか?などライフスタイルや状況に応じて全く消費行動が異なります。

また、デジタル技術の発展に伴い、より細かいレベルでのセグメンテーションが可能になったことで、マーケティングの解像度が高まっています。

その点において、あえてF1層という大きな括りで捉えるメリットはあまりないように思います。

ただし、完全に使えないかと言われると、そういうわけではありません。大まかに市場を捉えて俯瞰的に市場を見るような場合に、大まかな傾向を掴む上では有効ではないでしょうか?

このため、この伝統的な分け方は基本的な枠組みとして有用であるものの、現代のマーケティング戦略では補完的な手法として用いるべきであると考えられます。

Z世代という切り方は危険?

F1、M1といった切り方が今のマーケティングの切り方として古いという意見がありますが、Z世代という切り方は、1990年代後半〜2010年の約15年の年代を指しており、切り分ける年代の幅が比較的広いのではないかと思います。また、男性、女性でもセグメントされていません。

Z世代という呼び方は、第三者に説明する時にはシンプルな説明としてはわかりやすいですが、実際にマーケティングの運用段階で、ターゲット設定を行うには、ゾーンが広すぎるので、より緻密にターゲット(ペルソナ)を設定するべきでしょう。

また、Z世代という切り口は、生誕年での分け方ですので、年々対象の年齢が上がっていきますので、サービスや商品として設定する場合には、年齢が上がっても問題のない商品設定である必要があるのではないかと思います。

商品やサービスで独自に切り分ける

ターゲット層の切り分けはサービスや商品の特徴によってさまざまです。無理に既存の枠組みに嵌め込むのではなく、独自に年齢層を定義してく方法もあります。場合によっては、年齢での切り方が適切ではない場合もあるので、適切な切り方はなにかを事前に考えるように取り組むとよいでしょう。