YMYLとは?

YMYLとはYour Money or Your Life (あなたのお金、または人生)の頭文字を取ったもので、Google検索品質ガイドラインで扱われている、Googleが特別に重視しているウェブサイトのジャンルを示す言葉です。

SEOを語る上で、最も重要な用語の一つなので、確実に理解しておくようにしましょう。

Google検索品質ガイドライン

Google検索品質ガイドラインとは、Googleが公開しているドキュメントで、Google検索の品質評価者がウェブページと検索結果の品質をどのように評価するべきかについての指針を提供している文書です。

このガイドラインは、Google検索のアルゴリズムがどのようにウェブページをランク付けするかの詳細な説明ではないものの、Googleがどのようなウェブページを高品質とみなすかについての判断材料を提供しています。

Google検索品質ガイドラインは過去に何度も更新されており、重要な更新が含まれる場合もあるため、SEO関係者は確認しておきたいドキュメントです。

Google検索品質ガイドライン

YMYLに含まれる4つのトピック

YMYLに含まれるジャンルは明確に示されているわけではありませんが、以下のトピックがYMYLとして扱われています。

YMYL健康または安全:精神的、身体的、感情的健康、または身体の安全やオンラインの安全など、あらゆる形の安全を害する可能性のあるトピック

YMYL経済的な安全 :自分自身と家族を支える能力に損害を与える可能性のあるトピック

YMYL 社会:集団に悪影響を及ぼす可能性のある話題、公共の利益、公的機関への信頼など。

YMYLその他:人々を傷つけたり、社会の福祉や幸福に悪影響を及ぼす可能性のあるトピック

これらをサイトによってYMYLにどれだけマッチしているかの度合いも評価しています。もしウェブサイトのジャンルがYMYLかどうか迷う場合には、その情報の「些細な誤情報でさえも生活や生命に害を及ぼす可能性があるか?」という質問を投げ掛ければよいでしょう。その答えが明確にYESであれば、明確にYMYLジャンルといえるのではないでしょうか?

具体的なジャンルは明示されていませんが、以前のガイドラインには以下7ジャンルが明確に記載されていました。

ショッピングや金融取引のページ: オンラインで購入、送金、請求書の支払いなどを行えるウェブページ(例えば、オンラインストアやオンラインバンキングのページ)。

金融情報のページ: 投資、税金、退職計画、住宅購入、大学の学費支払い、保険の購入などに関する助言や情報を提供するウェブページ。

医療情報のページ: 健康、薬、特定の疾患や状態、メンタルヘルス、栄養などに関する助言や情報を提供するウェブページ。

法律情報のページ: 離婚、子供の親権、遺言作成、市民権取得などのトピックに関する法律助言や情報を提供するウェブページ。

ニュース記事や公式/公的情報のページ: 地方/州/国の政府プロセス、政策、人々、法律に関する情報、災害対応サービス、政府のプログラムや社会サービス、国際イベント、ビジネス、政治、科学、技術などの重要なトピックスについてのニュースなどを含むウェブページ。

その他: 子供の養子縁組、車の安全情報など、YMYLと考えることができる他の多くのトピックがあります。ご自身の判断を用いてください。

新しいガイドラインでは、明確なジャンルが記述されているわけではありませんが、健康やお金といった、人生に影響を与える大きいジャンルはより厳しい評価がされていると考えてよいでしょう。

YMYLジャンルの特徴

あなたサイトがYMYLジャンルに該当する可能性が高い場合、どのようなことが起こる可能性があるのでしょうか?

Googleの評価が厳しい可能性がある

YMYLジャンルの情報は、より信頼性のある発信源と、情報の正確性が重視されます。

信頼性のある発信源の例として、公的機関などの情報などが挙げられます。

例えば、津波の避難情報など、人の生命にダイレクトに影響する情報などは、より信頼性のある発信源である情報が優先される、といった具合です。

他にも、会計に関する情報を、何の資格も経歴も持たない個人が発信するブログよりも、大手の会計事務所で、経歴がしっかりとした専門家が発信する場合に、どちらが優先的に表示されるべきかを考えるとわかりやすいでしょう。

このようにYMYLジャンルを取り扱う場合には、自身が十分な信頼性をもって情報発信できるかは意識しておく必要があります。

Googleのアップデートの影響を受ける可能性が高くなる

YMYLジャンルの評価は頻繁に更新されているようで、Googleのアップデートでも頻繁にランキングが上下する報告があります。

信頼性のあるサイトが必ずしも上位に表示されるわけではないといった、評価が安定しない動きを見せることもあります。

YMYLを特に気にする必要があるのは、例えば、会社のホームページで、自社のメインの事業とは違うジャンルで、YMYLに関連する情報発信しようとするような場合や、新規ドメインで、YMYL系の情報メディアを運営するような場合です。

運営しているウェブサイトが後述するE-E-A-Tの指標を十分に満たせるかは気にしておく必要があるでしょう。

YMYLジャンルの評価基準E-E-A-T

YMYLを語る上で欠かせないのが、E-E-A-T(イーイーエーティー、またはダブルイーエーティー)と呼ばれる評価基準です。

E-E-A-Tとは、Experience, Expertise, Authoritativeness, and Trust の頭文字をとったもので、それぞれ以下の意味を持っています。

Experience(経験)
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trust(信頼性)

この中でも、信頼性は、他の3つの中心に位置するものと紹介されています。

引用:Google検索品質ガイドライン

それぞれを詳しく見ていきます。

Experience(経験)

経験とは、執筆者自身の体験を重視するという指標です。例えば、ある製品を評価するときに、製品の専門家の記事が評価される一方で、製品の実際の使用感や操作方法をレビューする掲示板が評価されることもあります。

つまり記載するトピックについて、実体験に基づいた記述は高く評価されるということを意味しています。Experienceは、もともとは含まれていない指標でしたが、後から追加されたものです[1]。Experienceは他の指標の中でも、特に重視されているという報告もあります[2]

[1]…品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
[2]…Lily Ray(X)

Expertise(専門性)

コンテンツの著者がそのトピックに必要な知識やスキルを持っているかを評価する項目です。

特定の技術情報を発信するブログが、アマチュアの趣味ブログなのか、資格を持ったプロの専門メディアなのかによって、専門性は大きく変わります。

Authoritativeness(権威性)

権威性では、コンテンツの著者やウェブサイトがそのトピックを扱うのに信頼性のある情報源として知られているかを考慮しています。

権威性はなにも公的機関だけが持つものではなく、特定のトピックの情報発信源として信頼できるかが重要です。

例えば、地元の店舗のビジネスプロフィールページは、その店舗においてセール情報などを発信する権威のある情報源になり得ます。

Trust(信頼性)

信頼性はE-E-A-Tの中で最も重視されている指標です。

信頼性は、以下のようなポイントで評価されています。

・ウェブサイトやコンテンツの著者のプロフィールやaboutページの情報に基づいて信頼性があるかどうか。
・他のサイトや人々が、ウェブサイトやコンテンツについて、どのように述べているか。信頼性があるかどうかは、独立した信頼性のある証拠があるとより強くなります。
・ページに表示されている内容が信頼性があるか。信頼性があることが明確にわかる情報が掲載されているか。
・ウェブサイトやコンテンツの著者の利益相反がない。例えば、製品のレビューを製造業社自身が「素晴らしいです」というレビューを掲載しても、信頼性は高いと言えるでしょうか?

このように、信頼性は一つ何かをやれば上がるというものではなく、さまざまな要因から複合的に判断されるようになっています。

作った記事だけでなくウェブサイト全体が信頼性を得やすくなっているかも、チェックするとよいでしょう。

YMYLジャンルのSEO対策

記事のSEO対策

品質を重視する

SEO対策の最も重要な考え方は、高品質な記事を作ることです。Googleは長くにわたって、一貫して、ユーザーのためになる高品質な記事を作ることが重要であることを述べており、さまざまな発信で繰り返し紹介しています。

また、ユーザーが望む情報を提供している、品質の高いコンテンツは、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができ、ユーザーは満足度を高めることができます。

品質の高い記事は、SNSで拡散されたり、被リンクを獲得することで、Googleから評価を受けやすくなります。

品質の高い記事を作ることは、多方面で良い効果をもたらします。

専門家が執筆する

記事はできる限りその分野の専門家が執筆する方がよいでしょう。専門家といっても、できるだけ客観的に見て専門性が高いとわかるような人物が理想です。

もし専門家が執筆した場合には、プロフィールに名前や顔写真、経歴を載せるとよいでしょう。

名前がペンネーム、顔写真がイラスト、経歴も曖昧、、、となると得られる信頼性も得られません。

専門家は、自分の専門分野に関する最新の情報やトレンドに詳しいため、読者が求める情報を正確かつ詳細に説明できるはずです。

専門家の監修をつける

専門家に執筆をお願いするのが難しいという場合には、監修をお願いする方法もあります。

ライターが執筆した原稿に対して、専門家が本当に正しい情報となっているかを、チェックしてもらいます。

Google側では実際にチェックが行われたかの判断は難しいため、監修者の情報はWEBページ上に掲載するようにしましょう。

実際にWEBメディアの多くでは、専門家自身が執筆するよりも、執筆自体はライターに任せて、監修を専門家で行う方式を多く目にします。

ウェブサイトのSEO対策

YMYLジャンルのSEO対策のもう一つの観点は、ウェブサイト自体のSEO対策を強化するということです。

ドメインを強くする

ウェブサイトのSEO対策は細かくみれば色々ありますが、大きな所ではドメインを強くすることが大きな対策になります。

ドメインを強くする主要な方法は、被リンクを獲得することです。多くのウェブサイトから被リンクを獲得を得ることが、サイトの評価につながります。

被リンクの種類も、すでにドメインが強いサイトからの被リンクや、公的機関からの被リンクなど、すでに信頼性を獲得しているサイトからの被リンクが効果的だと考えられます。

高品質な記事を作る以外にも被リンクを獲得しやすいサイト運営を目指すのもよいでしょう。

目的に応じて、サブドメイン、サブディレクトリを使いわける、新規ドメインは避ける

YMYLジャンルをメインドメイン以外で取り扱う場合(例えば、新たにYMYLジャンルのメディアを始めるような場合)には、メインドメインとの関連性を重視するのが一つの考え方です。例えば、コンテンツがメインドメインと同一ジャンルの場合は、サブディレクトリで運用し、メインドメインと関連性が薄い場合には、サブドメインを使うという考え方ができます。

メディアを運用する場合、サブドメインにはメインドメインのドメインパワーが引き継がれやすくなりますので、効果的にメディア集客ができるようになります。

まとめ

ウェブサイトを作る目的はさまざまだと思いますが、もし運営するサイトがYMYLジャンルに該当しそうな場合には、運営にはより一層注意が必要です。

記事執筆や、ウェブサイトのSEO対策などに注意しながら、取り組んでみてください。