トヨタ自動車のオウンドメディア、トヨタイムズは、企業のオウンドメディアの運用形態として参考になる部分も多いので、今回の記事では企業のオウンドメディアの在り方の一事例としてトヨタイムズを紹介したいと思います。
トヨタイムズの目的は?
トヨタイムズは2019年に登場しました。トヨタイムズが生まれたきっかけは、トヨタが車の会社からモビリティの会社に変わるという変革期であることと、国を問わず幅広い人に見てもらえる情報発信をするという考えのもとに作られました。コンセプトを変える変革期にあったタイミングです。
「トヨタの応援団を作る」というコンセプトのもと、まだトヨタにあまり関心がない層の興味喚起を目的として作られています。1
企業のトップ(社長や会長)がよく登場する
トヨタイムズを見ていて思うのが、豊田 章男氏や佐藤 恒治氏といった、会社のトップがよく出ていることかなと思います。
企業のオウンドメディアでは担当者ベースで運営されることも多いと思うのですが、トップ自らが、情報を伝えることの重要性をよく理解している証拠ではないかと思います。
メディアマーケティングの観点からも、代表が登場するというのは理にかなっています。昨今の情報発信では、”誰が”情報発信しているのか?というのは非常に重視されます。発言者の顔が見えない発信よりも、誰が発信しているかわかる情報の方が、より受け取られやすいのではないでしょうか。
また企業トップが自らマスに対して情報発信することで、トヨタのビジョンや想い、そして現状をより的確に伝える場所ができていると言えます。
社外発信と社内報を兼ね備えている
世界で何十万人もいる従業員に以下にトップの想いを伝えるのか。そういったインターナルコミュニケーションにおいても重要な役割を果たしています。
トヨタイムズが生まれたきっかけの一つとして、豊田章男氏が地元のラジオ局で番組を受け持った時に、リスナーからの反応をみて、想いがしっかりと伝わったというエピソードもあります。
社内にも想いを届けると同時に、対外的にも情報を届けるという、一石二鳥の情報発信となっている点は、一つのポイントになりそうです。
大手企業であればあるほど、この効果は大きいのではないでしょうか?
自社でコントロールできるメディア
2023年4月、トヨタ自動車の社長が豊田章男氏から佐藤 恒治氏に交代するときの報道発表は、トヨタイムズ上でライブ配信の形で行われました。
目的によって使い分けはあると思いますが、メディアという”媒体”を通して情報を伝えるよりも、直接情報を伝えられるという点でも、オウンドメディアの活用して、うまく使いこなしているように思います。
オウンドメディアを運営するということが、より情報の受け取り手にダイレクトに届けられる、という観点でもメリットがあるということになります。
動画や音声メディアを発信
トップページを見ると、記事コンテンツのほかに、Youtube動画や、トヨタイムズPodcastという音声を配信しているのがわかります。
トヨタイムズの開設当初は記事コンテンツのみから始まっていたような記憶があります。(記憶違いかも)
実際にここ数年で、動画や音声メディアは特に年齢が若い層を中心に、情報取得の第一候補になっているように思います。
オウンドメディア = 記事コンテンツ、という固定概念はもはや古いものになりつつあるかもしれません。
中小企業でもマネできるのか?
トヨタイムズのオウンドメディアには非常に多大な予算が使われているのは想像に難くありません。資本力のない企業が、安直に真似するのは危険かもしれませんが、予算のある企業がいま行なっているオウンドメディアの一事例としては、参考になると思います。
また、メディアの目的として、自動車を直接売るサイトではなく、トヨタという会社の想いを届け、社員にも、顧客にも、またトヨタに関心のない人にも、トヨタとの距離を近くするという役割は参考できる点ではないかと思います。