マーケティングとは?

マーケティングとは、単に「商品やサービスを売る」こと以上の深い意味を持つ活動です。アメリカン・マーケティング・アソシエーションによれば、以下のように定義されています。

マーケティングとは、顧客、取引先、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造し、伝達し、提供し、交換するための活動、一連の制度、プロセスである。

アメリカ・マーケティング協会

この文章はかなりふわっとした表現で、つかみどころがない印象ですが、なんとなくさまざまな要素を含んでいることはイメージがわきます。

ただこの短い文章で、印象的な文言があります。それが「価値」と「創造」です。

価値の創造とは?

もし価値創造が製品の機能や特徴だけであれば、あえてマーケティングでの価値の創造とは言わないはずです。

つまりここでいう価値の創造とは、①製品が顧客にとってどういう価値があるのか?を新しく生み出し、②違う角度から意味付け(価値づけ)をする、と考えると、マーケティングで何をすべきなのか?が見えてくるかもしれません。

「マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ」の著書である西口一希氏は書籍の中で、「価値とは顧客がプロダクトに見出した便益と独自性であり、顧客が便益と独自性を自分ごと化して初めて価値が生まれる」という主旨のことを述べています[2]。

つまりマーケティングとは、シンプルに顧客に価値を見出してもらう活動であると言えそうです。

この活動のプロセスがマーケティング活動と呼ばれるものに繋がってきます。

マーケティングのゴール

最終的なマーケティングのゴールについて、マネジメントで有名なピーター・ドラッガーは以下のように述べています。

マーケティングの狙いはセリングを不要にすることだ。 マーケティングの狙いは顧客を知りつくし理解しつくして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすることである。理想を言えば、マーケティングの成果は買う気になった顧客であるべきだ。そうなれば後は製品やサービスを用意するだけで良い。

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント基本編 第3版[3]

冒頭の「マーケティングの狙いはセリングを不要にすることだ。」は、あまりにも有名で、最終的なマーケティングのゴールは、売れる仕組みを作ることと言えるでしょう。

BtoC商材では、営業なしでも行きやすい領域かもしれませんが、BtoB領域では、販売の領域も重要になるでしょう。

マーケティングと営業の違い

マーケティングと営業は、しばしば混同されがちな二つの領域ですが、実際にはそれぞれ独自の役割と機能を持っています。

マーケティングは、顧客へは市場を通じた間接的なアプローチになります。顧客のニーズや欲求を理解し、製品やサービスを市場に適合させ、顧客の関心を引きつけるための戦略を立てるプロセスです。マーケティングは商品やサービスが売れるように仕組みを作ることと言えます。

一方で、営業は直接的な顧客へのアプローチになります。営業は、顧客のニーズを理解し、それに応じたソリューションを提供し、最終的な購買決定を促す役割を担います。

以下の表は、マーケティングと営業の違いと共通点を整理したものです。

要素マーケティング営業
主な焦点マクロ
(市場全体、ブランド認知度、市場のニーズ)
ミクロ
(個々の顧客、直接的な販売、顧客の具体的なニーズ)
活動内容市場調査
広告
プロモーション
顧客との関係構築
製品のプレゼンテーション
クロージング
アプローチ間接的
(市場への影響を通じて)
直接的
(個々の顧客との対話を通じて)
目的顧客の関心を引き、製品への興味を喚起製品やサービスの販売、収益の生成
戦略長期的な仕組みづくり短期的な売り上げ向上

マーケティングは、一般的に市場全体を対象とし、ブランド認知度の向上や市場でのポジショニング、顧客の関心や好みの理解に重点を置きます。

これに対し、営業は個々の顧客や見込み客に焦点を当て、個別のニーズに対応し、製品やサービスの具体的な利点を説明し、購入を促進します。

マーケティングは、顧客が製品やサービスに興味を持つように仕向ける間接的なアプローチを取りますが、営業はより直接的なアプローチを用いて、実際の販売を目指します

マーケティングと営業が異なる役割を持ちながらも、ビジネスの成功において互いに重要な役割を果たしていることがわかります。それぞれの活動が連携し合うことで、全体としての効果が最大化されるのです。

デジタルマーケティング、WEBマーケティングとは?

マーケティングの言葉でよく耳にするのが、デジタルマーケティングと、WEBマーケティングです。

これらはしたの図のように、マーケティングに内包されるものです。WEBマーケティングが、WEB上で展開するマーケティング活動であるのに対して、デジタルマーケティングとは、MAツールやCRMツールといった、マーケティングを助けるデジタルツールを導入するといったように、デジタルを使った全体の活動を指しています。

また似たような言葉にコンテンツマーケティングがあります。広義には、新聞や雑誌など紙媒体のコンテンツや、動画、音声コンテンツなども含みますが、狭義では、WEBメディアにおけるマーケティング活動を指す言葉としても使われます。

コンテンツマーケティングについては、下記の記事に詳しい説明があります。

コンテンツマーケティングの位置付け

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[1]…マーケティング〔新訂〕 (放送大学教材) – 井上 淳子, 石田 大典 著
[2]…マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ – 西口一希 著
[3]…コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント基本編 第3版 – フィリップ・コトラー, ケビン・レーン・ケラー 著